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離婚相談窓口

財産分与額認定と現実的な実務編

清算すべき財産関係の種別と評価及び分与

不動産

基礎となる財産(資産)の洗い出しをし、特に不動産(土地・建物)の評価については金銭と違い案分割する訳にはいきませんので(結果、金員にかえて他方に支払う)双方共に納得のいく評価金額にする必要があります。

実務の現場では、弁護士等へ依頼して当事者が実務を執り行わない場合には、公平を期す為にプロ(不動産鑑定士)に鑑定を依頼する場合もあります。

しかし、マンション等で有るならば実勢価格が簡単に分かりますし、不動産業者に買取金額の見積もりを数社提出させれば、平均値は簡単に出せると思います。
ここで問題点になるのは買えば幾ら、売れば幾らの金額の違いです。
他方が住むにしても一度、金員に変えて他方に支払うことを前提とするならば、売却金額を評価ベースにすべきでしょう。
なぜならば、買う場合のマンション等は、最低限のリフォームはしてあり、当然その仲介業者等の利益が加算された金額なのですから、現状の売却金額で評価する方が正しいと考えられます。

さて、マンションと違い一軒家ですが、場所によって大きく算定が難しい場合があります。
なぜならば、都心に近く売買も頻繁におこなわれている場合は上記のマンションと同じような手順で評価を出せますが、都心から遠く売買もほとんど行われない場所などは、比較対照すべき売買実績がありませんので、不動産売買のプロでも困る場所という物件は事実存在します。

弊社が知っている案件では、平成21年末時点で過去20年以上不動産の売買が無く、不動産屋ですら適正相場が分からないと困ってしまっていた物件があったエリアがありました。

しかし、離婚により分割することに合意していた夫婦には、「知らない、分からない」では済みませんので、結果的には取得時の購入金額-(原価償却相当金額)=残存評価金額として計算することとしました。

有価証券・各種会員権等

婚姻期間も長くなり、一定の年月が経てば預貯金以外に株や会員権等を所有している場合も多々あります。
しかし不動産と違い上場株や会員権等の場合は、至って簡単と言っても良いでしょう。
株や会員権ならば売却金額が評価額となりますし紛争に発展することは少ないと考えられます。

しかし世界でも類をみない程、株式会社の多い日本国では、中小零細企業も株式会社で有り(会社法の改正により既存の有限会社は、屋号であり事実上は株式会社)婚姻後に会社を設立して一定の業績を上げている場合は、その評価を算出するのに当たり、大変な労力と金額がかかる場合があります。

なぜならば、その会社はお金を生み出す金の卵なのですから。
先ずは、その会社の株式の一株当たりの評価を算出する作業から開始するのですが、実務としては、素人の計算では何時まで経っても適正な評価など出来るわけも無く、現場では税理士等に評価を出して頂きます。
その際、自社の顧問税理士以外にも「株式の評価依頼」をして平均値を出すと紛争になりにくいでしょう

一番の山場は、夫婦共に会社の役員で有り株主であった場合の案分割です。
離婚=役員解任ではありませんし、その役員が会社に多大な貢献をしていて利益の大部分を出していても離婚と会社経営は別の問題点ですので、ここでは取り上げずに持ち株についてのみ記載しておきます。

当然別れて出て行く方が、会社の株式を離婚後も持ち続けることは、法的には全く問題ありませんし、残された方も株式の買取りをしなくて良いのならば、取りあえず買い取り金額の手当てをしなくて済みます。

では実務の現場では、実際に別れた妻が株を持ち続けているか?
答えは買い取れる場合は、買い取っているが大多数でしょう。

それはそうでしょう、会社の所有者は株主ですから、離婚後に頑張って会社を大きくしても、何年後、何十年後に別れた妻が株主の権利を振りかざしてこられたら、困りますから、結果自分に買い取る資金が無い場合には親類縁者に頭を下げて株式の買い取をお願いするという事象があります。

近い将来入る予定の金員

別れる夫や妻が勤め人であり、遠くない将来に退職金や年金が入ることが分かっている場合の取り扱いは、昭和の昔は年金分割制度もなく、ましてや夫の退職金にまで言及することは非常に少なかったのですが、最近は原則平等となり共稼ぎであっても専業主婦であっても原則二分の一と職業の有無に関係ない扱いのようです。

年金分割は、当HPで詳細に記載して有りますのでここでは、退職金について記載していきます。
前記の通り職業の有無に関係なく案分するのは、最近の傾向では退職金も同じです。
特に退職金の扱いが「給料の一部分を企業が積み立ての退職時、一括払い」という認知が広くなったことも大きな要因と考えられます。

確かに離婚後1~2年で、夫だけ退職金を貰い受けて妻がその恩恵に与れないのは、納得のいかないものがあるでしょう。

但し全てを平等に案分割といっても婚姻に至るまでに夫がその会社に10年勤めていた場合は当然に案分する場合には、10年分の金額を夫に差し引いてからの案分割が平等であると考えられます。

会社によっては離婚の為に妻に退職金を渡すと言った場合に、その時点までで計算して支払いをしてくれる企業もあります。
大体が大企業ですが、中小企業でも対応している企業はあります。
よくよく、考えれば退職時までの計算では、平等ではなく離婚時の退職金支給金額が案分割すべき金員の数字と考えるのが適切でしょう。

夫の退職時受給金額・・・・・・・・・・・・・A
婚姻期間中の退職金積立金額・・・・・・・・・B
案分割後該当金額・・・・・・・・・・・・・・C
(A-B)÷2=C

と考えるのが現在の一般的な退職金の案分割でしょう。

前述以外の特殊事例

配偶者が医師等の特殊な職業や能力によって一般人と異なり大きく資産形成をなしたる場合は上記記載の平等の定義には必ずしも縛られず、本人の能力等を個別に考慮して寄与割合を認めることとなります。

書類と実務

財産の分与額は、協議離婚の時には双方共に話し合い文章(離婚協議書)にして後日の紛争を避けるために是非にも作成しておきたいものです。

しかし離婚することは、合意に至っていても財産分与に関しては合意に至らない場合や離婚そのものが合意に至らない場合は、財産分与については、家事審判法第9条乙類第5号、同法第18条により家庭裁判所に調停申立をなし解決を図ることとなります。

そして調停でも合意に至らない場合には、離婚がすでに成立している場合には審判の申立を、離婚も未処理の場合は、離婚の訴えとともに財産分与の訴訟を起こせることとなります(人事訴訟法第32条)。

どのような状態であっても、最終的には裁判所が(全ての事情を)考慮して認定してくれます。


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