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財産分与請求権 (離婚に伴う財産の分与等について)

民法は第768条第1項で離婚に伴う効果として、離婚した者の一方は相手方に対して財産の分与を求めることができる旨定めています。

この請求権には、①(婚姻中に協力して作り上げた財産の清算)・②(離婚後の経済的弱者への扶養)・③(離婚原因を作った有責配偶者に対する慰謝料)

また財産分与については、家事審判法第9条第1項乙類第5号となるために協議がまとまらない場合は調停、審判で処理が可能であると伴に、人事訴訟法第32条により、離婚裁判の付帯処分として訴訟での解決も可能なものです。

財産関係の清算 (個人特有財産・共有財産)

婚姻中の夫婦の財産は、婚姻前の各個人の収入で得たものや相続にて得たもの等があります。

個人特有財産

  1. 婚姻前に自分の収入もしくは親から買って貰った住宅、自動車
  2. 親等の死亡に伴い相続にて取得した土地建物 (婚姻中の取得を含む)
  3. 親等の死亡に伴い相続した金員および有価証券(婚姻中の取得を含む)
  4. 婚姻前から自己名義の銀行口座に積み立てていた預貯金(婚姻後は除く)

上記例1~4に該当する財産は、財産分与に関係のない個人特有財産となります。

共有財産

このほかに名実伴に夫婦共有財産があります。

  1. 婚姻後に購入した住宅(名義がどちらになっていても関係なし)
  2. 婚姻後に購入した車両(名義がどちらになっていても関係なし)
  3. 婚姻後に貯蓄した銀行預金(名義がどちらになっていても関係なし)
  4. 婚姻後に加入した積立型生命保険(満期若しくは解約時に返済金がある場合)
  5. 婚姻後に購入した電化製品及び家具調度品
  6. 年金・退職金、この項目は後項目で詳細に記載します

上記例1~6に該当する財産は、財産分与に関係する共有財産となります。

このように資産といっても色々な形態がありますが、分与請求の対象となる資産はおおまかに分けて上記の1~6です。

しかし、婚姻後に購入した不動産等でも購入資金の一部に婚姻前の貯蓄や一方の親の援助が含まれている場合があります。
このような場合は共有財産といえども特有財産の部分が含まれますので分与に伴なう案分割合の算出に難しい問題を残します。

債務(借金)

一番の問題点となるのが住宅ローン等の債務金額が残っている場合の案分割合です。
当然に住宅ローンといっても借金ですからどちらの名義で借金をしていても清算対象となります。
但し、その住宅に一方が離婚後も残り生活をするならばローン完済後は名義人の自己物件となり資産となりますので、そのローン中の住宅から出ていって新生活を一から立て直さなくてはならない一方とは条件が極端に違います。
(実務の現場では、ローン中の住宅を売却することは難しく、結果的に住宅ローンを支払いながら一方はその住宅に住み、他方は新しい住居を確保して離婚後の生活をはじめるという事象が多数見受けられます)

会員権・施設利用権

他にはゴルフ場の会員権等の施設利用権利などですが、売買の取引ができる場合は金銭的価値の算出も比較的安易です。

学資保険等

よく問題になりますが、夫婦に子供が存在して「学資保険等」を積み立てていた場合です。
当然に子供が稼いで貯蓄した訳ではありませんので名称が違うだけで、やはり共有財産です。しかし将来その子供のためにと貯蓄した訳ですので養育者が「学資保険」を持たせてもらえると(財産分与に関係なく)良い案分割合だと思われます。

但し離婚原因が養育者にあり尚且つ、浪費癖などがあった場合には今後の子供の養育のことも考え一旦「学資保険等」も解約し子供が「学資金」が必要になった場合に適時金員にて支払いをした方が良いことは明らかでしょう。

年金(公的年金・私的年金)

(例・6)の年金についてですが年金にも公的年金と私的年金があります。
公的年金に関しては平成19年4月1日から年金分割制度が施行されました。
しかし私的年金に関してはそのような制度はなく、当然に離婚をする当事者同士が協議の上でその案分割合を決め受け取る方法についても離婚協議書に記載して公的年金同様に「公正証書」に記入しなくてはなりません。

生命保険について

(例・4)保険関係ついて近年では、離婚前の契約がそのまま継続されて元夫が死亡すると元妻に保険金がおりる、または元妻が死亡すると元夫に保険金がおりる事象を良くない状態と捉える風潮です。
確かに一度離婚して他人になった状態で元伴侶が死亡したら保険金が入るのは、その部分だけ見ると、「ちょっと・・・」と思われるかも知れませんが、もし夫婦の間に未成熟の子があったならば死亡により物理的に入らなくなった「養育費」の一括払いとも捉えられます。

子供の問題と上記の財産関係の清算が最大の論点になることが多数見受けられます。

扶養

財産分与としては財産関係の清算のほかに高齢・病気等で経済的自立が難しい場合の離婚後の元配偶者の扶養の面から財産分与が認められる場合があります。

これは単に財産分与や慰謝料だけでは経済的弱者側の配偶者の生活維持が困難な場合に補充的になされており、すべての離婚に伴なう経済的清算について問題とはなりません。

扶養分としての財産分与が考慮される具体例

高齢・病気・未成熟の子供の養育監護等でそもそも一方配偶者が自立して生計を立てることが困難な場合や、離婚後の自立をするまでの一定期間の援助といった場合に認められているようです。

しかし健康で働くことのできる環境にも関わらず、経済的に自立しようとしない者にまでは考慮されないこととなりえます。

またいつまでの扶養の考える必要があるかといった問題点では、高齢者・難病者等の場合は死亡までとなります。子供の養育監護の場合は子供の自立まで等、一定の期限が考慮されます。

そして上記の条件を考慮し、その金額を一括払いにて清算するのか、又は養育費等のように月々支払う形にするのかは、その当事者の資産状況や経済的社会的状況により変化しますので画一的な基準はありません。


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