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離婚問題コラム 考察と分析

離婚は、どれぐらい増えているのか?

離婚と言っても、結婚して一年未満のカップルもいれば、20年、30年以上の夫婦生活を過ごしたカップルもいる。
そこで、今回は世間で言われる、熟年離婚に絞って厚生労働省のデータを基に記述してみようと思います。

厚生労働省の平成21年の調査結果では、離婚件数全体の約16%が婚姻期間20年以上の年輩カップルでした。
婚姻期間20年以上の離婚は、昭和45年の調査結果では、約2%ですから、約40年間の間に熟年離婚は8倍にも膨らんだことになります。

この8倍にも膨らんだ離婚数の間の期間約40年の間に世間では、いったい何があったのでしょうか。

昭和45年に30年間の結婚生活に見切りをつけて、離婚を選択した夫婦が、結婚当時共に20才だと仮定すると(30+20)=50才となります。
当然、昭和生まれではありませんね、そうです、大正生まれです。

昭和45年当時、50才の女性では、特別な仕事についていない限りでは、どこかの会社の正社員でいることは、とても難しいことだったのです。
(特別な仕事の定義、世間でいう専門職、たとえば、医師、看護師、教師)
大正生まれの女性は、20才を過ぎても結婚をしていないと世間から白い目で見られた時代です。
25才まで独身でいると、世間から(実の親や親族からも)行遅れがいて恥ずかしいと、平気で口に出して言われた時代です。
当然、本人にもその自覚があり、16才~20才位の間に結婚話(お見合いです)があると、学校に通っていても結婚を理由に学校を辞めて家庭に入りました。
今の、時代の人には想像もできないでしょう、しかし、結婚して学校を辞める本人よりも、見送る在学生がより結婚する人のことを羨んだのです。
当時は、男は外に出て働き家庭にお金を入れる。女は子供と夫の面倒をみて家庭を守る。
学校教育でも、そのように教えられ、国、社会全体がそれで当然と考えていました。
それが証拠に、当時に就職をしようとしたら、両親は何をしているか、などを履歴書に書く欄がありました。
当然、専業主婦がベストです。
そんな時代の人の離婚ですから、熟年離婚率2%も逆に考えれば、平成21年の16%より、もっともっと大変だったと容易に推測できます。
年金分割の制度もありませんし、そもそも、離婚後の生活の基盤となる職業がありません。

上述の事柄を踏まえて、当時の熟年離婚の状況を考えると、余程のことがない限り、離婚を申しだす側は、女性ではなく男性からではないかと、安易に推測できます。

バブル時代は、国も国民も一斉に浮き足立って、異常な価値観と倫理観をもって動いていた時代なので、時代背景も統計学も全く意味を持たないので、割愛します。

平成21年の熟年離婚ですが、婚姻期間が25年と仮定しましょう。
(この間に婚姻に達する年齢も上昇しましたので)

平成21年に25年の結婚生活に見切りをつけて、離婚を選択した夫婦が、結婚当時共に20才だと仮定すると(25+20)=45才となります。
昭和40年代の生まれとなります。

約四半世紀の間隔が空きましたが、その間に女性の生活状況は一変しました。
高校、大学への進学率は、大幅にアップし、それにつれて就職率もほぼ正比例して伸びていきました。
特に注目したいのは、男女雇用均等法、年金分割法の法整備の二点と、世間でのパワハラ、セクハラ等へのモラル感の変化です。

収入の面では、昭和45年組は、ほぼ0に等しかったのに対して、平成21年組は、いまだに男女間では、年収等の開きはあるものの、生活ができないということはありません。
法的なインフラもさることながら、各就業所に託児所等が併設されることが多くなり、また民間企業間では、育児休暇等が取りやすくなってきました。
配偶者からのDVも具体的な立証ができれば、裁判所が離婚を認め、DVに対する慰謝料も考慮してくれます。

離婚に伴う、慰謝料や財産分与に対する明確な判断基準が、ネットですぐに検索できて、またその権利を裁判所もほぼ聞き入れてくれます。
(妻本人に著しい過失があった場合の、相手方への慰謝料等は、主題とは離れますのでここでは記載せず、別時に記載します)

当然、ここまでの自己への社会的権利が高まれば、権利を行使した方が自己の利益にかなうと判断する方々が多数出てくるのは、当然と考えられます。
まして、昭和45年組の、男は外で働き家庭にお金を入れる、女は子供と夫の面倒をみて家庭を守る。
ではなくなってきて、男女共に働きに出て、女は子供と夫の面倒をみて家庭を守る、では上述の昭和45年組と比べて女性の方が圧倒的に不利益です。
考え方を変えれば、現代の状況で婚姻関係を継続している女性の方が、我慢強く男や子供に尽くしているともいえるのではないでしょうか。

いずれにしても、今後の熟年離婚の傾向は、統計学的に右肩上がりで、とても止まりそうにありません。
どこで熟年離婚が止まるかは、日本が欧米諸国と同じレベルまでの社会的モラルに達した時には、他の先進国と同様の離婚%となるのではないかと考えています。

平成27年11月29日
北村調査事務所
北村太郎著

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